メディア従事者の労働者性について
令和5年10月12日、品川労働基準監督署は、広告写真関連会社と業務委託契約を締結していたフリーカメラマンが令和4年7月、車で撮影現場に向かう途中、高速道路で渋滞に巻き込まれた時にトラックによる追突事故に遭い、頚椎捻挫や左足の指を骨折するなどの怪我を負ったことについて、通勤災害に該当するとして、労災認定をしました。
労災認定は、労働者を対象とするのが原則ですので、業務委託契約関係にある者については原則として対象となりません。しかしながら、業務委託契約という形式であっても、実質的に労働者と位置付けられた場合、労災認定の対象となることは過去の事例においてもありました。そして、今回は、会社がシフト表を作りスケジュール管理をする、勤務シフトの希望も出せなかった、また、繁忙期には同社の仕事だけで月200時間働くこともあるという状況からして、実質的に会社の指揮命令下にある労働者であると認定されたようです。
2023年4月28日に本コラムで紹介しましたように、労働者性の判断基準としては、労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(昭和60年12月19日、労働省)が用いられることが多いのですが、芸能人に関しては、労働省が発した昭和63年7月30日基収355号の通達(いわゆる「芸能タレント通達」とも「光GENJI通達」とも俗称される通達です)が特に参照されています(東京地判平成28年7月7日等)。すなわち、①指揮監督下の労働といえるかどうか、②報酬の労務対償性があるのかどうか、③事業者性があるのかどうか、④専属性はどの程度あるのか等の要素について、就業の実態に着目して個別具体的に検討されます。そして、制作・技術スタッフ等と映画会社や制作会社等との関係における労働者性については、上記昭和60年判断基準に加え、「建設業手間請け従事者及び芸能関係者に関する 労働基準法の『労働者』の判断基準について」(平成8年3月、厚生労働省)という判断基準が用いられることが多いです。労基法などの労働関係法令上、労働者に該当するかは大きく、(1)会社の指揮命令下の労働であるか、(2)報酬の労務対償性、(3)事業者性の有無で判断されます。
映画撮影技師の労働者性をめぐる裁判例は過去にもあり(新宿労基署長事件 東京高判平成14年7月11日)、撮影に関連するメディア従事者の労働者性については、色々と指摘をされているところです。メディア従事者には労働契約ではなく業務委託契約を締結して働いている方が多くおられます。上記の労災認定は、メディア従事者の労働者性をどのように考えるかということについて非常に参考になると思われます。
労災認定は、労働者を対象とするのが原則ですので、業務委託契約関係にある者については原則として対象となりません。しかしながら、業務委託契約という形式であっても、実質的に労働者と位置付けられた場合、労災認定の対象となることは過去の事例においてもありました。そして、今回は、会社がシフト表を作りスケジュール管理をする、勤務シフトの希望も出せなかった、また、繁忙期には同社の仕事だけで月200時間働くこともあるという状況からして、実質的に会社の指揮命令下にある労働者であると認定されたようです。
2023年4月28日に本コラムで紹介しましたように、労働者性の判断基準としては、労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(昭和60年12月19日、労働省)が用いられることが多いのですが、芸能人に関しては、労働省が発した昭和63年7月30日基収355号の通達(いわゆる「芸能タレント通達」とも「光GENJI通達」とも俗称される通達です)が特に参照されています(東京地判平成28年7月7日等)。すなわち、①指揮監督下の労働といえるかどうか、②報酬の労務対償性があるのかどうか、③事業者性があるのかどうか、④専属性はどの程度あるのか等の要素について、就業の実態に着目して個別具体的に検討されます。そして、制作・技術スタッフ等と映画会社や制作会社等との関係における労働者性については、上記昭和60年判断基準に加え、「建設業手間請け従事者及び芸能関係者に関する 労働基準法の『労働者』の判断基準について」(平成8年3月、厚生労働省)という判断基準が用いられることが多いです。労基法などの労働関係法令上、労働者に該当するかは大きく、(1)会社の指揮命令下の労働であるか、(2)報酬の労務対償性、(3)事業者性の有無で判断されます。
映画撮影技師の労働者性をめぐる裁判例は過去にもあり(新宿労基署長事件 東京高判平成14年7月11日)、撮影に関連するメディア従事者の労働者性については、色々と指摘をされているところです。メディア従事者には労働契約ではなく業務委託契約を締結して働いている方が多くおられます。上記の労災認定は、メディア従事者の労働者性をどのように考えるかということについて非常に参考になると思われます。