小林製薬「紅麴問題」から考えるメディア対応のあり方
小林製薬株式会社製「紅麹」関連サプリメントをめぐる健康被害問題について、同社は様々な批判に直面しています。健康被害という被害の甚大性に鑑みれば、同社が様々な批判に直面することはやむを得ないものであります。
このような「企業不祥事」が発生した場合には、狭義の法令遵守ではなく社会通念・規範・倫理からの視点でもって対応することが重要です。法令遵守に拘泥してしまうと「法令違反さえしなければ問題ない」という組織防衛的発想になり、引いては社会の目の厳しさを見落としがちになります。そのようなことから、企業不祥事対策については、ルールベース(細則主義)ではなくプリンシプルベース(原理原則主義)に基づいて行うべきであり、インテグリティ(真摯さ)が重要であると唱えられるようになってきました。平たく言いますと、「ルールで禁止されなければ問題はない」という視点から「会社が行っていることは真っ当か?」「社会からどのように見られているのか?」ということを自問自問し続ける視点への変容が求められるようになってきました。そのような社会的流れから、日本取引所自主規制法人は、2016年、「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」を策定し、①不祥事の根本的な原因の解明、②第三者委員会を設置する場合における独立性・中立性・専門性の確保、③実効性の高い再発防止策の策定と迅速な実行、④迅速かつ的確な情報開示の重要性を説きました。ここからは、「企業不祥事」が発生した場合には、真相究明、再発防止及び被害拡大の防止の視点をしっかりと有しながら、事実調査をしっかりして説明責任を果たしつつ、迅速な情報公開をしていくことが求められるということが導きかれます。そして、メディアは社会の目であり、「問題発見」機能であることを意識して、メディア対応をしていく必要があります。そのようなことを意識して、企業法不祥事においてメディア対応を行えば災い転じて福となすではありませんが、社会的信頼回復を勝ち得ることにもなります。
さて、今回の「紅麹」関連サプリメントをめぐる健康被害問題の小林製薬株式会社のメディア対応が適切だったのかということを検証してみます。事前作成していたガイドイランに沿った対応、長時間におよぶ記者会見対応、記者会見等における失言等は見られなかったこと等からすれば、総じて、しっかりとしたメディア対応であったと思われます。しかしながら、問題となるサプリメントの回収判断及び公表が2カ月以上も遅くなっており、かつ、その点について、「判断が遅かったと言われればそれまで」とやや居直り的な発想に陥っていたことが致命的なミスであったと思われます。サプリメントの分析結果を待つことによって問題なしとなれば回収コストも抑えられるという経営判断があったであろうことは容易に想像できます。しかしながら、本件は生命身体に関する健康被害問題であるという特性に鑑みれば、リスク管理の観点からすればあまりにも軽率だったと思われます。分析中であれ、事態の推移も含め、詳らかに現時点の情報を公開していくことこそが、メディア対応に求められるものでありますが、その点が決定的に欠けていたとも考えられます。
企業不祥事が起きた際には、真相究明、再発防止及び被害拡大の防止の視点をしっかりと有しながら、事実調査をしっかりして説明責任を果たしつつ、迅速な情報公開をしていくことということを愚直に実践していくこと、それが組織には求められることが小林製薬「紅麴問題」から考えるメディア対応からも明らかになったと思われます。
このような「企業不祥事」が発生した場合には、狭義の法令遵守ではなく社会通念・規範・倫理からの視点でもって対応することが重要です。法令遵守に拘泥してしまうと「法令違反さえしなければ問題ない」という組織防衛的発想になり、引いては社会の目の厳しさを見落としがちになります。そのようなことから、企業不祥事対策については、ルールベース(細則主義)ではなくプリンシプルベース(原理原則主義)に基づいて行うべきであり、インテグリティ(真摯さ)が重要であると唱えられるようになってきました。平たく言いますと、「ルールで禁止されなければ問題はない」という視点から「会社が行っていることは真っ当か?」「社会からどのように見られているのか?」ということを自問自問し続ける視点への変容が求められるようになってきました。そのような社会的流れから、日本取引所自主規制法人は、2016年、「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」を策定し、①不祥事の根本的な原因の解明、②第三者委員会を設置する場合における独立性・中立性・専門性の確保、③実効性の高い再発防止策の策定と迅速な実行、④迅速かつ的確な情報開示の重要性を説きました。ここからは、「企業不祥事」が発生した場合には、真相究明、再発防止及び被害拡大の防止の視点をしっかりと有しながら、事実調査をしっかりして説明責任を果たしつつ、迅速な情報公開をしていくことが求められるということが導きかれます。そして、メディアは社会の目であり、「問題発見」機能であることを意識して、メディア対応をしていく必要があります。そのようなことを意識して、企業法不祥事においてメディア対応を行えば災い転じて福となすではありませんが、社会的信頼回復を勝ち得ることにもなります。
さて、今回の「紅麹」関連サプリメントをめぐる健康被害問題の小林製薬株式会社のメディア対応が適切だったのかということを検証してみます。事前作成していたガイドイランに沿った対応、長時間におよぶ記者会見対応、記者会見等における失言等は見られなかったこと等からすれば、総じて、しっかりとしたメディア対応であったと思われます。しかしながら、問題となるサプリメントの回収判断及び公表が2カ月以上も遅くなっており、かつ、その点について、「判断が遅かったと言われればそれまで」とやや居直り的な発想に陥っていたことが致命的なミスであったと思われます。サプリメントの分析結果を待つことによって問題なしとなれば回収コストも抑えられるという経営判断があったであろうことは容易に想像できます。しかしながら、本件は生命身体に関する健康被害問題であるという特性に鑑みれば、リスク管理の観点からすればあまりにも軽率だったと思われます。分析中であれ、事態の推移も含め、詳らかに現時点の情報を公開していくことこそが、メディア対応に求められるものでありますが、その点が決定的に欠けていたとも考えられます。
企業不祥事が起きた際には、真相究明、再発防止及び被害拡大の防止の視点をしっかりと有しながら、事実調査をしっかりして説明責任を果たしつつ、迅速な情報公開をしていくことということを愚直に実践していくこと、それが組織には求められることが小林製薬「紅麴問題」から考えるメディア対応からも明らかになったと思われます。