VTuberと「著作権」
VTuber(バーチャルYoutuber)とは、一般に、Youtube、Twitch、Tiktok等のプラットホームにおいて、コンピューターグラフィックス(CG)やイラストをアバターとして使用して、会話、踊り、歌唱、ゲーム等を行った動画(歌ってみた、踊ってみた動画やゲーム配信動画等)を投稿・配信する者のことをいうとされています。
VTuberにより投稿された動画については、声優による吹替やモーション・キャプチャー技術の使用等がなされている点に特徴があります。
こうしたVTuberが歌唱した楽曲や踊った振付が、著作権法上の著作物(=「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(同法2条1項1号))に該当するとされる場合には、創作された時点で、原則として、その作詞家、作曲家、振付家等に著作権が自動的に発生します。
また、VTuberのキャラクターとして会話や歌唱等を行う生身の声優についても、アニメなどの声優と同様に、実演家として著作隣接権(実演家の権利)を有するものと考えられます。
もっとも、モーション・キャプチャー技術を利用してダンスを踊らせるといったアバターを介した実演が、著作権法上保護の対象とされている「実演」(=「著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)」(同法2条1項3号))に該当するか否かについては、見解が分かれています。
この点については、立法的対応が必要であるとする見解以外は、ケースバイケースの判断により、「実演」として保護の余地があるとする見解が多いようですが(栗原佑介「メタバースを中心とするバーチャルリアリティにおける著作権法の「実演」に関する-考察-「その実演」の意義を中心に」総務省 学術雑誌『情報通信政策研究』第6巻第2号参照 ※1)、現時点では、仮想空間における実演に関しては、議論の余地が残っている状況であるともいえます。
なお、「アバターを介した操作者の行為(キャプチャされる前の元の動作、発声等)が「実演」に該当するか否かは、個別に判断される。例えば、アバターの性格、決め台詞、口調、ポーズ等に演出的キャラクター設定がなされており、操作者がその設定に沿って動作、発声等を行うような場合は、「実演」に該当する可能性があるのに対し、仮想空間内の店舗で行う接客動作に伴う動作、発声等は、通常は、著作物を演じるものでも芸能的な性質を有するものでもなく、「実演」に該当しない可能性があるものと想定される。」との指摘もあります(内閣府知的財産推進事務局「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理」(2023年5月)※2 )。
上記の点に加えて、VTuberに関する活動においては、動画内で演者として活動をする者の他にも、デジタルキャラクター等を制作した者や企画・運営に関わる者などとの間における多様な権利関係が生じてきます。
また、景品表示法や消費者契約法、個人情報保護法等の法規制や各利用規約等の遵守が求められてくるなど、多岐にわたり適切な対応を講じてゆく必要もあります。
こうした点も含めて、今後、さらに解説をしてゆく予定です。
VTuberにより投稿された動画については、声優による吹替やモーション・キャプチャー技術の使用等がなされている点に特徴があります。
こうしたVTuberが歌唱した楽曲や踊った振付が、著作権法上の著作物(=「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(同法2条1項1号))に該当するとされる場合には、創作された時点で、原則として、その作詞家、作曲家、振付家等に著作権が自動的に発生します。
また、VTuberのキャラクターとして会話や歌唱等を行う生身の声優についても、アニメなどの声優と同様に、実演家として著作隣接権(実演家の権利)を有するものと考えられます。
もっとも、モーション・キャプチャー技術を利用してダンスを踊らせるといったアバターを介した実演が、著作権法上保護の対象とされている「実演」(=「著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)」(同法2条1項3号))に該当するか否かについては、見解が分かれています。
この点については、立法的対応が必要であるとする見解以外は、ケースバイケースの判断により、「実演」として保護の余地があるとする見解が多いようですが(栗原佑介「メタバースを中心とするバーチャルリアリティにおける著作権法の「実演」に関する-考察-「その実演」の意義を中心に」総務省 学術雑誌『情報通信政策研究』第6巻第2号参照 ※1)、現時点では、仮想空間における実演に関しては、議論の余地が残っている状況であるともいえます。
なお、「アバターを介した操作者の行為(キャプチャされる前の元の動作、発声等)が「実演」に該当するか否かは、個別に判断される。例えば、アバターの性格、決め台詞、口調、ポーズ等に演出的キャラクター設定がなされており、操作者がその設定に沿って動作、発声等を行うような場合は、「実演」に該当する可能性があるのに対し、仮想空間内の店舗で行う接客動作に伴う動作、発声等は、通常は、著作物を演じるものでも芸能的な性質を有するものでもなく、「実演」に該当しない可能性があるものと想定される。」との指摘もあります(内閣府知的財産推進事務局「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理」(2023年5月)※2 )。
上記の点に加えて、VTuberに関する活動においては、動画内で演者として活動をする者の他にも、デジタルキャラクター等を制作した者や企画・運営に関わる者などとの間における多様な権利関係が生じてきます。
また、景品表示法や消費者契約法、個人情報保護法等の法規制や各利用規約等の遵守が求められてくるなど、多岐にわたり適切な対応を講じてゆく必要もあります。
こうした点も含めて、今後、さらに解説をしてゆく予定です。